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天保製長州砲

天保製長州砲
みもすそ川公園(山口県 下関市)
北緯33度57分56秒 東経130度57分25秒

幕末、関門海峡での6次にわたる攘夷戦は、元治元年(1864年)8月、長州藩兵と英・仏・蘭・米4カ国連合艦隊との交戦をもって終結したが、同時にこれは明治維新の具体的始動につながった。

この歴史的事件で下関海岸砲台に装備された長州藩の青銅砲は、すべて戦利品として外国に運び去られ国内から姿を消していた。

1966年春、渡欧中の作家 古川薫氏がパリ アンヴァリッド軍事博物館に保管されている攘夷戦長州砲を発見、以来返還運動が進められたが実現困難のところ、郷土出身の外務大臣 安倍晋太郎氏の努力とフランス政府の好意によって、1984年6月、貸与の形式で里帰りをするに至った。

この機会に下関東ロータリークラブでは、フランス政府の了解を得、創立20周年記念事業として、これを原寸大かつ精密に模造し下関市に寄贈した。

同長州砲は天保15年(1844年)萩藩の鋳砲家 郡司喜平治信安の手になるもので、幕末日本人の対外危機感を象徴する歴史的逸品である。

鎖国に眠っていた日本史が、ようやく世界史に組み入れられる瞬間を目撃した、この物言わぬ証人を海峡のほとりへ永久に安置しようとするのは、歴史に富むこの地の発展と世界平和を祈念する趣旨に他ならない。


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