スポッターズ的ひこうき写真館                                              軍用車輌


陸上自衛隊 双腕作業機

*********************************************************************

01-9101

01-9102

災害派遣を念頭に置いた新装備である。

倒壊した家屋の中から人を助け出そうとすると、まず倒壊によって発生した柱・壁・屋根などの部材をどけなければならない。

それを人力で行うと労力も時間もかかることから、重機を用いる方が効率的である。

そのような場面でよく使用されるパワーショベルは油圧駆動のアームを1本しか持たないため、「どける」作業はできても、それ以外の作業を同時並行的に行うのは難しいのが現状であった。

そこで登場したのが「双腕作業機」である。

その名の通り、油圧駆動のアームを2本備えているので、片方のアームで対象物を押さえておいて、他方のアームで取り除く、といった作業を行える。

戦闘任務用の装備が余技で災害派遣に活躍する事例は多いが、最初から災害派遣用として装備を取得するのは珍しい。

導入される機種は確定していないが、消防署などで導入実績がある日立建機が開発・販売している「アスタコ(ASTACO)」が有力とされている。

ASTACOは運転質量8,710kgと、決して小型の機械ではなく、前面に2本の油圧駆動式アームを備えていて、各腕のアタッチメントは付け替えが可能となっている。

例えば、「右腕」の先端に全旋回フォークを付けてモノを掴み、一方「左腕」の先端にはハサミのようなカッターを付けて切断作業をすることができる。

この両腕を活用することで、「掴みながら折り曲げる」「掴みながら切断する」「覆い被さった障害物を持ち上げながら、その下にあるモノを引っ張り出す」といった操作を行える。

この機材を災害派遣に持ち込んだ場合、たとえば建物倒壊現場で残骸を取り除く作業に有用性を発揮すると考えられる。

ブルドーザーだと押しのけることしかできないし、パワーショベルでは対象物をすくい取ることになるが、双腕作業機ならもっと複雑な作業を1両で行える。

しかし腕の数が増えて、その先にカッターやハサミが付くとなると、操作がそれだけ複雑になる。

そこで「ASTACO」では、旋回式の架台にアームレストとジョイスティックを組み合わせた操作系を取り入れている。

ジョイスティックは右側に支点を持つ横棒で、上下に動かすと腕の上下操作、前後に動かすとアームの伸縮操作、棒をひねると先端に取り付けた機器の操作となる。
アームレストも含めて架台全体を回転させると、左右に向きを変えるスイング操作になる。

このほか、掴む際の力を加減する「把持力制御機能」があるので、しっかり掴むことも、そっと掴むことも可能となっている。


主要緒元
運転質量 8,710kg
最大作業半径 6,770mm
最大作業高さ 7,600mm
最大作業深さ 3,820mm
全幅 2,320mm
乗員 1名


トップへ  戻る


JGSDF Japan Ground Self Defense Force